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2008年06月21日

ミス・ポター

ミス・ポター

映画ミス・ポターを見ました。そりゃもうピーターラビットファンなら必見の映画です。
(ワタクシ、実はウエッジウッドのピーターラビットシリーズを収集しております。意外とメルヘンラブ

ピーターラビットの作者といえば、あの可愛らしい動物の絵とともに文章も記した世紀の児童文学作家、ビアトリクス・ポターです。その彼女の半生を描いたバイオグラフィー的な映画がミス・ポター。

主演のビアトリクス役にブリジットジョーンズの日記やシカゴで名をはせたレニー・ゼルウィガー。共演でビアトリクスの婚約者ノーマン役にスターウォーズやムーランルージュのユアン・マクレガーという組み合わせです。この2人は以前に恋は邪魔者で息の合ったコンビを披露していましたね。
ユアンはもともと英国出身なのですが、アメリカはテキサス育ちのレニーが流暢な英国発音をこなせるのは、英国映画ブリジットジョーンズの日記で培った経験が大きく貢献しているようです。

さて、正直きっと退屈な映画に仕上がってやしないかと不安だったのですが、ピーターラビットファンならずともきっと満足できる内容だったのではないかと評価しています。

19世紀当時では本当にもうすっかり嫁ぎ遅れとなったビアトリクスが、単に動物の絵や空想に取り付かれた少女趣味の女性ではなかったことがよくわかります。
彼女の描く動物や昆虫の絵はどれもこれもディティールが細かく、写実的になおかつ科学の目を持つ者だけが描くことのできる、当時の女性としてはめずらしくも革新的だったのではないでしょうか。

あの時代の英国上流社会を背景にした映画や小説を見ますと、良家の女子ともあろうものが手に職を持つなどとんでもないという世界。だからこそ女に生まれたからには経済的にも階級的にもつりあいの取れた家に嫁がなくては将来が無いという時代です。貴族でさえ女の子には爵位が譲れないのですから、そんな中で意に染まぬ相手との結婚を渋り続けたビアトリクスには何か確固たる意志の強さも感じられます。

ミス・ポター

30歳を過ぎてやっと運命の人ノーマンと巡りあったビアトリクス。ノーマンもまた恋愛に対してはウブなのですが、そんな2人の初々しい恋愛が、映画を見る者を決して甘いだけの気分にさせないのは、映画全体が絵本に象徴されるような単なる可愛い作りになっていないからだと思います。
晩年、執筆活動をやめ、彼女の愛した湖水地方の何千エーカーという広大な土地をナショナルトラストに寄付することからも、自然保護を謳い続けたビアトリクス・ポターという女性は、実は芯の強い活動家だったことがわかります。

見どころは他にはもちろん湖水地方の美しさ。のどかな牧歌的な背景はいまだにビアトリクスの自然保護の精神が絶やされることなく根付いているのだと実感させられます。
また、ロンドンにおける屋敷内のインテリアも必見のひとつ。なかでもノーマンの実家、ウォーン家の花々が咲き乱れるサンルームでのお茶のシーンは、息を呑むほど美しい。

変わったところでは、当時の印刷所でのカラー印刷のシーンは興味深いですね。

退屈どころかちょっぴり涙してしまったり、長くも短くもないちょうどいい1時間半の映画でした。そうそう、劇中とエンディングで流れるWhen you taught me how to danceがとても良かったです。


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Posted by りえぴゃん at 02:17 │●お知らせ・雑談